夢見るように、考えたい

池田晶子さんの喝、”悩むな!考えろ!”を銘としております。

サイコパスとアドラー。

今朝の体重64.4kg。体脂肪率12%。62キロから64キロに上げるために食べていたが、なんとなく体が重い。これは64キロがベストというわけではないということなのかもしれない。体重を戻すにしろ、下半身ばかりに贅肉が付くのはよくないかもしれない。あるいは贅肉でも、エネルギーが必要な時のためすこしは持っているほうがいいのだろうか。

すこし体に聞きながら考えたいと思っている。

 

サイコパス 中野信子 文春新書 2016を読んでいる。  

 

実は、人間の脳は、「信じる方が気持ちいい」のです。これもまた、集団を形成・維持する機能の一つと言えるかもしれません。人間の脳は、自分で判断をおこなうことが負担で、それを苦痛に感じるという特徴を持っています。これは認知負荷と呼ばれるものです。
P.197

 

このあたり、自身に当てはめて考えてみると、納得感がある。日々、できるだけ省エネで、決まったことがあまりにひどくなければそのままいこう、という自身の気持ちが確かにある。

 

集団でのいじめ、政治不満への我慢、不快な状況をできるだけ我慢して変えようとしないこと。

これはある。第三者からみて例えば「そんなブラック企業やめてしまえ」という風に言われても、なかなか退職できないことや、いじめを耐えてしまうこと(これは単純ではないと思うが)にも、そうした傾向が影響しているだろう。

 

サイコパスとの関係で、DVやら搾取やらをされていても、我慢したり共依存になったりするのも、こうした感覚が原因の一端なのだろう。

 

サイコパスは100人に一人の割合でいるという。悩むことはほとんどないが、唯一の悩みは「孤独感」が強いことだという(同書P.222)。周囲の人とうまくやっていけず、息をするように嘘を言い、結果として孤独になるという。だが企業経営(スティーブ・ジョブス)や聖職者(意外だが、マザー・テレサは周囲の人に非常に冷淡であったという)、リスクを恐れない外科医をと言った職業に就いている人においては、おそれを知らず、リスク耐性が高い(そもそもリスクと考えない)というサイコパス特性が結果としてうまく生かされている場合もある。戦時であれば、通常の意識では耐えられない殺戮を進んで行うということもあっただろう。過去の冒険者や探検家などにもそうした気質を持つものが多かった可能性がある。

 

そういう形で成功すればいいが、そういう機会に恵まれず、人を傷つける方向にあるサイコパスをどうすればいいのか。犯罪を起こしたサイコパス気質があるものの矯正は困難で、明確なやり方が確立されたとは言えないという。集団(つまりサイコパス気質のものとそうでないものの集団)での治療は、むしろ表面的にごまかす技術を取得され、逆効果であるともいう。ただ、1対1で治療する場合はある程度その傾向が押さえられるケースがあったともいう。

 

例えばアドラー心理学では、その最終的な目的として、すべての存在(とあるいは非存在)が、共同体感覚を思い出すこと、ということを挙げる。

 

ユダヤ人で、第一次世界大戦に軍医として従軍したのちにアドラーは、暴力や、アドラーのいう人生の3つの課題(人生の課題はこの3つに集約されるとアドラーは言う)、仕事の課題、交友の課題、愛の課題、それらすべてを解決するためには、共同体感覚に導くしか方法はない、と言っている。

 

共同体は家族だけではなく、
国家、人類にまで拡大する。
さらには、
動植物、無生物にまで拡大し、
ついには、
宇宙にまで広がるのである。
宝島社 

アドラー 100の言葉

 監修和田秀樹 2016 P.214

当然ながら人間はすべて「共同体」の一部である。人への共感の念が欠けている、あるいは著しく低いサイコパスが、果たしてこうした「共同体」という意識を持つことができるのだろうか。

 

たぶん、表面的、一次的には極めて困難であろう。「個体」としての個別のサイコパスには、そうした意識を一生持つことができない、ということが容易に起こるのだろう。

 

だが、アドラーは各人が自身のみに意識を向けるのではなく、他人との関係に目を向けることが、こうした「共同体」を最終的には宇宙で実現するために必要であると説く。

 

つまりはサイコパス自身がどうこうというより、サイコパスと接する個人や、社会が、大きくサイコパス、という傾向の存在を認めて、「他人に興味を持てない」サイコパスであっても、この共同体の一員である(様々な不協和音を齎す存在ではあるがそれでも)、と認識してゆくことしかないのだろう。

 

多分、サイコパスといっても様々な違いがある。これは当たり前だ。個別であれば、効果があったという一対一の深い対話や治療、こうした方向しかないのかもしれない。

 

(なかなか大変なことだと思います。。中野さんも現状では明確なエビデンスが得られていない(そもそもサイコパスは人間の社会性の問題なので、動物実験等は不可能)とおっしゃっています。。。)

サイコパス (文春新書)