夢見るように、考えたい

池田晶子さんの喝、”悩むな!考えろ!”を銘としております。

グノーシス神話が答えようとするもの。

グノーシス神話が答えようとする人間の実存的な問いかけとは。

「われわれは誰であったのか。われわれは何になったのか。われわれはどこにいたのか。われわれはどこに投げ込まれているのか。我々はどこへ行くのか。われわれは何から解放されたのか」

アレキサンドリアのクレメンス「テオドトスからの抜粋」78,2

 クルト・ルドルフ グノーシス P.75

グノーシス―古代末期の一宗教の本質と歴史

グノーシス―古代末期の一宗教の本質と歴史

バシリデースの教説での神話構成は、エイレナイオス(異端反駁 1,24,3-7)によると、

生まれざる父から諸存在、天使たちが流出する。出てくるのはまず6つの霊的な諸力、「心」(ヌース)もしくはキリスト、「言葉」(ロゴス)、「思慮」(フロネーシス)、「知恵}(ソフィア)、そして「力」(デュナミス)であり、これによって本来のプレーローマが構成される。次に最後の二者から、連続的な下降線を辿りつつ、三百六十五の天使が生み出される。彼らはそれぞれ、上位のそれに模して造られた自らの天を所有している。この三百六十五の天球は世界年ないしアイオーンの空間的表現形態であるが、同時に神と造物主の間の隔たりを象徴している。というのは、世界と人間を創造するのは最下位のクラスに属する天使たちだからである。その首領がユダヤの神であるが、名を「アブラサクス」(もしくは「アブラクサス)」とも呼ばれていたらしい。これは天の総数である三百六十五を文字化した名前であるが、元来は、四つの子音で書き表されるユダヤの神名ヤハウェ(テトラグラム)の謎めいた言い換えであったと考えられる(「アルバ」/「アブラ」=ヘブライ語で「四」)。人間をユダヤの神・創造神の専制から解放するため、至高神はキリスト・ヌースを派遣する。このキリストはイエスの肉体において顕現するが、十字架刑の前にキュレネ人シモンと形態を交換する。

 P.343 クルト・ルドルフ グノーシス より