夢見るように、考えたい

池田晶子さんの喝、”悩むな!考えろ!”を銘としております。

夢のご先祖様ビジネス。

柄にもなく未来予想させていただく。

事業提案、といってもいい。

人は他人の記憶から、忘れ去られた時、真に死ぬ、という。

逆に言えば、死への恐怖のある部分は、忘れ去られることへの恐怖、といえる。

そしてまた、葬儀とは故人の為ならず、”そういうことにしておくことにする残された者の為の精神の安定の為の儀礼”である。

それだけでは、ないのであるが、その要素が強い。

ではどんな提案なのか。

ずばり、故人の顔をし、故人の考え方を内臓した不死のロボット(動かなくてもいい方はお安い胸像タイプもありますよ)なのだ。

寸法もよりどりみどり、極魂大の小人タイプも可能。

商品の名前は”メモリノイド”、ご提供はずばり”メメントモリ社”でございます。

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たちの悪い冗談のようだが、半分本気でビジネスになるような気がしている。宣伝文句はこんな感じ。

ほら、貴族のお城にはご先祖の肖像画が、ハリポタを見ればそれは絵のなかで生きてますよね。

あれですよ、あれの立体版。3D版ともいいますな。

それが最新技術でご先祖の考え方を再現したロボットに。

皆さんのお傍にいつも。小人タイプであればドールハウスで生活もできますよ。

しかって欲しいときはそう語りかけて。わが社の”メモリノイド特製脳=メモリー”であれば、あたかも本当にお父さんが語りかけるよう!!

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必要なものは、作りたいメモリノイド用の顔写真、身体もあればいいですがそこはお好きに。

また対象者の著書、フェイスブックなどがあればなおいいですな。

情報量が多ければ、メモリノイド脳にパターン織り込みで、故人の考えていることにどんどん近づきます!

もちろん人間の基本的立ち居振る舞い、考え方は標準装備。お好みでお好きなタイプにVERSION CHANGEもできますよ。

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書いていてちょっと恐くなってきた。これであれば機械なので勿論人権のない、従順な奴隷さえ可能ではないか。

そして勿論故人でなくともよし。

生きている人、アイドルや俳優でもOK。

これをやると、肖像権侵害になるだろうし、肖像権を売るビジネスも起こるだろう。

個人的には池田さんや小林秀雄などはお願いしたくなってくる。

これが進化すれば、真の人間ではなく、メモリノイドと暮らす、という人もでてくるだろう。

結婚できない人は、メモリノイドと暮す。結構愉しく。

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それはがゆがんだ、幼児的な感情に訴えるビジネスであろうが、たとえばクローン、例えば出産前診断などと同根の、人間の存在理由,生物としての存在理由に繋がる問題であろう。そして多分この国ニッポンでは大きな社会問題になることもなく、することもなく、発展するであろう。”クール・ジャパン”。

欧米では多分人の似姿を作ることへの禁忌感(=神が人を作り給うた)から発展はしにくいし、場合によっては禁止されるかもしれない。だが、日本的宗教感からは全くOKである。なにしろ、死ねば人は神となる。八百万、数多くの神が在るところ。

欧米からは禁止されたメモリノイドを購入すべく、来日者が急増。
これ、医学でもないですしね。

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これは人の心の弱みを見据えたビジネスだ。故人、ペット。かつて手塚治虫は、事故死した飛男(字はこれだったかな?)を再現するためにアトムを天馬博士につくらせた。つくったアトムを見て天馬博士はいった。
”こんなのは飛男ではない!!”

ロボットにして感情を持ち、”親”に生まれてすぐ捨てられて、そのことを覚えている。

なんとも残酷で気の毒な生い立ちが、アトムの物語に血を通わせたのだろうと思っている。

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人が減り、そして会社でのつながりが”高齢化”で途切れると、葬儀ビジネスは先細りだ。結婚もそうだが、”縁に考慮してあまりやりたくもない儀礼をやる”ことはこれからどんどんすくなくなってくるだろう。家族葬、とか。

そのときに葬儀社は、高齢者にそうしたメモリノイドをプロモーションする。変更不可能な”遺言モード”もありますよ。

自身を忘れたられたくない=死にたくない。

これはある。誰にでも。それが”メモリノイド”で遺せるのだ!

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あがき、であろう。死者は消え行くのみ、それが後のものに親切なやりかた。たぶんそうした意見がでる。だが、みんな気にせず実施。

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ちょっとしたブラックユーモアのようになったが、これは形を変えるかもしれないが必ず実施される気がする。いわば”ヒューマノイドタイプロボット市場”のメインのニーズなのだから。

掃除、もいい。でも多分人は嘗て人形に求めていたような癒しを早晩求めるはずだ。

ヒトガタ、という形で。それが動くんですよ?しゃべってそしてあたかもあの人のようなことを、”考えて”いうんですよ??

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讀賣新聞 3月23日(土)、東大大学院教授 西垣通氏曰く、
”人間の分身として生活を補佐するヒューマノイド(人型ロボット)もあと10-20年すれば身近になるだろう”

日経ビジネス 3月25日号 P.144 フェイスブック分析の脅威
フェイスブック分析により、プロフィールに書かれていない情報を”男性の性的志向を88%、人種は95%、宗教及び政治的志向も80%の精度で当てた。性格のタイプや情緒の安定性についても、62〜75%の精度で当てた。”


同P.112 3Dプリンター

”3Dプリンターで作った部品を組み込んだライフル銃を実際に作成。600発以上を発射できるとする動画も公開した。”

13万円の機種も出ているという。

あと、バンダイ仮面ライダーの仮面を取った顔を貴方の顔に、という企画もあった。あれも根っこは同じだ。

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これらの技術を組み合わせれば、”人間モドキ”が出来る。
顔は写真から3Dプリンターで。身体は”汎用ロボット躯体”で。メモリーは”フェイスブック”の要素を取り込んだ”標準日本人パーソナリティー”で。

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禁断の領域、という気もする。しかし池田さんがクローン羊”ドリー”の項で示されたのと同じ、あるいはよりハードルの低い、その分破壊力の強い問題になるような予感がする。

一休禅師の辞世の句は、「今死んだ どこへも行かぬ ここにおる たずねはするな ものは言わぬぞ」であるが、これは遺された者への万感の気遣いがある。

だが別のVERSION、”死んで無い どこへも行かぬ ここにおる たずねはするな ものは言わぬぞ”というのもあったようだ。どちらが正かは解らぬが、この2作、特に後段を味わいつくせば、自分ではない依代を後世に残す我執、ということの臭みを感じてしまうのである。大人の一休さんの”喝!!”が一つの答えであろう。

あ、このメモリノイド、とりあえず今は僕の勝手な妄想でしたか!! なんだかもう実現しちゃっているような気が、してしまった。