3月になった。
早いものである。
新潮社小林秀雄全作品9 文芸評の行方 を読んでいる。
- 作者: 小林秀雄
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/06/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人
- この商品を含むブログを見る
当たり前だが、不思議に感じることは、
こうした年代別に編まれた全集の場合、ある歳に発表された作家の文章を順番に読めることである。
例えばこの本では、35歳の小林秀雄が書いた、新聞への短文や、文芸批評文を読む。あたかも”35歳の小林秀雄”という、批評家が、いまの世に在り、こうして文を発表しているかのような、感覚になる。
年下の小林秀雄がいる、という感覚の不思議。
批評の大家、として小林を見るクセがついている目からすると、ずいぶんに新鮮であるし、若い。
ふと思った。これはいま自分より若い人に対してもっている感覚だな、と。若くても、若くなくても、自分を基準とする見方は目を曇らせる。素晴らしい魂は素晴らしい。
そのことをすこしこの歳若の小林秀雄に教えてもらった。
年齢、というものに振り回される自分の気持ちが、すこし軽くなったような気がした。
- 作者: 石田千
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/02/08
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 17回
- この商品を含むブログ (49件) を見る
- 作者: 石田千
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/08/01
- メディア: 単行本
- クリック: 4回
- この商品を含むブログを見る
石田千氏のエッセイと小説を同時に読んでいる。
空気や時間をきりとるような筆が心地よい。
ちょっと山崎ナオコーラ氏のエッセイを思い出した。
似ている、というより、たたずまいや生き方が、作家という姿が、似ているのかもしれない。