夢見るように、考えたい

池田晶子さんの喝、”悩むな!考えろ!”を銘としております。

3月7日 正義と大義。アマゾンプライムで見続けているボッシュシリーズと、プラトンの「ポリティア」について。

アマゾンプライムで、「ボッシュ」シリーズを見続けている(ネタバレありますのでお気をつけください)。

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現在シーズン7まで見終わって、続編?の「ボッシュ・レガシー」を見始めたところだ。主人公のボッシュが刑事をやめて私立探偵となり、娘のマディが新米警官として働き始める、という変化がある。

 

ボッシュは刑事時代も現場にこだわり、昇進をする気がなかった。LA,つまりアメリカの警察制度については無案内だが、警部補が現場の指揮者、警部が現地所長というイメージか。LAには仕事がらみで2-3回行った記憶がある。仕事はしんどい内容ではあったが、陽光にあふれた海と、エンジェル・フライトこと傾斜を上るケーブルカー、いかにもアメリカのイメージにピッタリのレストラン等、楽しい思い出もある。

 

ボッシュが現役警官にこだわるのは、自身が父親をしらず(あとでわかるらしいですが)娼婦を母に持ち、その母を顧客に殺された、という過去を持つことも一因だ。事件で殺された少女たちの未解決事件をあくまで探し続ける。机に写真を入れて。

 

母はボッシュに優しかった。殺されてゴミ箱に捨てられた事件を、何十年かを経て自ら解決する。人種間の問題。女性の弱い立場。銃社会。そうした問題が凝縮された物語だ。

 

ボッシュの辞職は、大義のため犯罪組織摘発を優先する政治的警察判断と、それによって捨てられ捜査されなくなる一人の少女事件の追求のはざまで、ボッシュがあくまで一人の少女にこだわったせいである。

 

大義のためにあきらめろ、というチーフ(市警本部長、この俳優は原作では白人、ドラマでは黒人でしたが、印象的な方でした。2023年に亡くなったようですが)に、あくまで抵抗してバッジを叩きつけて辞めたボッシュ。ここで感じるのは「正義と大義のぶつかり合い、違い」である。

 

人命は地球より重い、だったろうか、そういう政治的発言がおおむね納得感をもってここ日本の世間に受け入れられたように感じたことを思い出す。トロッコ問題、という哲学(心理学?)問題のことも思い出す。3人と1人の犠牲を選ばねばならぬとき、どちらをあなたは選ぶのか。

 

多分「正解」という形では答えは存在できないだろう。答えがないいいに下線を引くのが哲学である、とおっしゃったのは内田樹先生であったか。この言葉を聞いて(読んで)、私は内田氏の言葉をいろいろ聞くようになった。

 

そんなことを感じながら延々ボッシュシリーズを見続けた。1シーズンで10話、一話45分として10話で450分、7シリーズで3150分、52.5時間である。まるまる2日以上累計で見続けたことになる。

 

そんな時に読んだのが、納富信留東大教授の「プラトン 理想国の現在」ちくま書房、である。大作故読み切っていないのだが、非常に良い本である。

 

P.35から引く。

 

プラトンが正面から挑んだのは、「正義はそもそも為すに値するのか。たんなる約束や強制に過ぎないのではないか」といった根本的な問いであった。

 

これは多分すべての人が生きてゆく中で「もやもや」していることではないか。そしてだいたいは「仕方がない、そうにしかならない」となんだかあきらめていることではないだろうか。

 

私見だが世界はすこしずつ良くなっている。

 

不十分ながら女性蔑視もすこしずつ改善。

不愉快な職場環境(タバコの煙は吸わない私にはきつかった)の改善。

地球規模の環境改善という発想の出現、

 

過程であり、個別で見ればいろいろな不具合があるのだろうが、大きく見れば進歩している。内容はともかく、多分餓死は日本では減ってはいるだろう(皆無ではないが)。

 

だがその過程で、「正義」は「きれいごとであり、誰も見ていないところでは守れない」ものと思われる割合が今も多いように感じている(私もふくめて)。そこを修正するために「おてんとさま」や「神」が(目視できないにしても象徴的に)採用されている、という事情が文化面ではあるようにも思う。

 

ソクラテス、というかソクラテスのキャラに乗せてプラトンが提示する「個人の魂にとって正義は必要なのか」という問いは、本質すぎる問いであると思う。

 

数千年前にギリシャ哲学にて、現在の智を超える人類最高の思想と頭脳があったことが、なんというかすごいけれども人間進歩できてないんとちゃうか、とも思うところでもある。

 

ソクラテスプラトンで、もう人類は最高値にいっちゃってるんじゃないですかね。。。)

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