アイルランドに生まれ、ある時期からアイルランドに還ることなく亡くなった作家、
ジェイムズ・ジョイスの”ダブリンの市民”を読んだ。
- 作者: ジョイス,結城英雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2004/02/19
- メディア: 文庫
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一時期、ケルトの神話や図案に強く惹かれた時期がある。なにか尾を引くのである。
一番初めに知らず接したのは荒俣宏氏が初期の早川FT文庫(1979.2)で紹介されたこの本であろう。
- 作者: ロードダンセイニ,S. H. Sime,荒俣宏
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1979/03/13
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FT文庫5冊目であるからあるいは1回目、あるいは2回目の配本であったかもしれない。初期ではパトリシア・A・マキリップの”妖女サイベルの呼び声”が特に好きであった。
- 作者: パトリシア A.マキリップ,佐藤高子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1979/02/28
- メディア: 文庫
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!なんとFT文庫1巻である!グイン・サーガの1巻目も確かこのころから始まった(確認すると、1979年9月頃か)。評論社の”指輪物語”を読んだのもこの頃。
従来は”ナルニア国””ゲド戦記”というジュブナイルとして提示されてきた”ファンタジー”が、現在にも続く文学の一分野として認知されだしたのは、この頃ではないかと推測する。勿論個人的にも図書館にあった「ナルニア国」の岩波の品のいいハードカバー本が、文字通り我がナルニア国への入り口となった。
(クリスマスに全巻揃えを買ってもらったのも懐かしい)
- 作者: 栗本薫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1979/09/29
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- 作者: J.R.R.トールキン,瀬田貞二
- 出版社/メーカー: 評論社
- 発売日: 1977/04
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- 作者: C.S.ルイス,ポーリン・ベインズ,C.S. Lewis,瀬田貞二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1966/05/28
- メディア: 単行本
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- 作者: アーシュラ・K.ル・グウィン,ルース・ロビンス,Ursula K. Le Guin,清水真砂子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1976/09/24
- メディア: 単行本
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”サイベル”については、これは未読だが、確か岡野玲子がマンガ化されている。
- 作者: 岡野玲子
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2000/06/01
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それまでは”ドリトル先生”一辺倒であった僕の”脳内文学界”が一気に開けた頃である。
- 作者: ロフティング,井伏鱒二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1961/09/18
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その頃は、”ドリトル”と聞くだけで、心は”沼のほとりのパドルビー”まで飛んでゆき、想像上の自分は動物に囲まれ・・・という世界、だから同じく幻獣にかこまれたサイベルに惹かれたのであろうか。
いや、話が激しく横にずれた。アイルランドの話であった。
神話以外で、現実のアイルランドに出逢ったのは、とんぼの本のこの一冊。
- 作者: 深谷哲夫,月川和雄,リチャードホートン,Richard Haughton
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/03
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ぼんやりと”欧州”ひとくくりで、どちらかというと英国の一部のように捉えてきたアイルランドが、どうやらそうではないということが、写真の間から立ち上ってきた。
これはなんなのか?
暗い、情念のようなものを感じる。その根っこには、宗教間(カトリックとプロテスタント)の対立があるように思った。
キリスト教、個人的にも関係がある話だ。実は僕は幼児洗礼を受けている。
ああ、ちょっと時間がないようだ。ほとんどジョイスに触れることができず、マクラオドとユリシーズについても触れられず・・
とりあえずは書影のみを示しておく。
- 作者: フィオナマクラオド,松村みね子
- 出版社/メーカー: 沖積舎
- 発売日: 2002/10
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- 作者: デクランカイバード,Declan Kiberd,坂内太
- 出版社/メーカー: 水声社
- 発売日: 2011/12
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ケルトの地は不毛という。入植者は、岩を砕き、海草を漉き込んで土を作ったという。
その地に伝わったキリスト教はエジプトを経たものか。ドルイドの地に伝わったそれが、どのように受け入れられ、拒否され、同化され、換骨奪胎されたのか。
それが今の宗教紛争につながるのか。
つきつけられる階層差。イギリス人への複雑な思い。
見せて欲しくない暗部。かくしておきたい本音。
そのことがこの本の本質を正しく指し示している。