意識とはどう定義すべきであるか。
ユングのいう集団的無意識、というものは、感覚的には超意識的というか、
精神の普段ある領域でのアップデートされる共通的なもの、という印象もあるし、
あるいはいわゆる太古からの動物的記憶、DNAへの記憶(記録)という印象もある。
後者であれば、それは自らを形作る”この”遺伝子固有のもの(今持っているDNAだけのもの)という印象があるし、
前者であれば、あるいは全存在の経験データが今も/今までも/これからもずっと
記憶されるアカシア?的な全宇宙的な結果である印象もある。
ただ、どちらかというと、”個体としての存在”と仮に意識するものへの〝外界”からの
アプローチの結果の集積、というような感触を持っている。
錬金術、というと、いままでは”合金を作る技術”=科学の萌芽的技術論、というイメージがあったのだが、
最近複数の錬金術(古代錬金術ともいおうか)の記述を読むと、錬金術の“金”は実際の金属を示すというよりはむしろ精神を金に例えて、精神の”神化”を目指す精神運動=取り組みであった、というものがあった。
金属を合金にし、”見た目金色”になるのをただ喜んでいるいまいちの取り組み、という印象があったのだが、金が精神を象徴する、といわれるとその印象はがらりと変わった。
ペインボディをいつも観察していると、ペインボディと思考のつながりを断つことができます。思考とのつながりを断たれてしまったペインボディは、意識へと変わります。痛みが意識の炎を燃やすための燃料に変わり、結果的に意識の炎がいっそう明るくなるのです。これが
一般に知られていない、古代錬金術の解釈です。つまり、卑金属(=苦しみ)を黄金(=意識)に変える技術のことを意味しているのです。苦しみと意識のあいだを走る亀裂は癒され、わたしたちは満たされます。そのレベルに到達できたなら、もう新たな痛みをこしらえないことが、わたしたちに課せられた使命なのです。
では、ここでプロセスをおさらいしてみましょう。まず、自分の感情的な痛みに、意識を集中させます。それをペインボディだと認識します。「わたしの内面にはペインボディがある」という事実を受けいれます。ペインボディについて、解釈してはなりません。判断を下したり、分析したり、自分の都合のために「ペインボディは〇〇が原因だ」などと、決めつけないことです。「いま」に在り、自分の内側を観察しつづけるのです。ペインボディを観察する人になりましょう。これが「いまのパワー」につながる方法です。「いまに在る」ことから得られるパワーです。そうしてから、自分にどんな変化が起こるか、ようすを見ましょう。
P.61-62 エックハルト・トール「The Power of NOW」
”さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる” あさりみちこ訳
徳間書店 2002年
「いまに在る」というありかたは、ケン・ウィルバーが採るところの「目撃者」というありかたに通じるものだろう。
自分に起こる意識は、さまざまな条件や過去という知識をいま想起することでの反応にすぎない。
空に雲があるように、この世で鳥が囀るように。”わたし”という全、空、全てのなかあに起きる”気持ちの変化”、これが場合によっては”ペインボディ”になる。
個である”わたし”(全であるわたしとは別の)といってもいい。意識=エゴ=この個体に”固有であると思いたい”もの。
それを”観察”する。
ここがキモだろう。観察する、という行為は、前提として観察対象を自らのうちに含まない。含めることができない。
だから”観察”というのである。気づきを、誘う。
これがウィルバーのいう”観察者にやすらぐ”ということなのだと解釈している。
このあたりの考え方は、ケン・ウィルバー、エックハルト・トール、デビット・R・ホーキンズ、ヘルメス・J・シャンプ 各氏の思想のなかでは、ほとんど(表記のニュアンス差はあるが)共通している感触である。
これがいわゆるブッダやイエスに発する”宗教”となる以前の原初の思想の根源でも
あるのかもしれない。
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