夢見るように、考えたい

池田晶子さんの喝、”悩むな!考えろ!”を銘としております。

白川静、池田晶子、内田樹。

台風12号は、日本海側にそれたようだがまだまだ雨量が多いようだ。

内田樹本を集中して読んでいる。本来は1本(1冊ではなく、文章1本1本)を熟読吟味すべき、というか、したいわけだが、BOOK OFFで計5冊の文春文庫を発見してしまったので、どちらかというとノンストップで読み続けている。

文章の密度がすごい。内田本のなかではどこかで読んだ、というのはあるが、他であまり読んだことの無い思想や意見がすごい。こちトラの意見が出てくるまもなく、息継ぎなく読みまくっている、という感覚であるが、まずはとことん読んでみよう、と思っている。ちょっと脳みそが情報量を消化できなくてショート気味であるが。

内田先生は自身の文章を著作権フリー、どこをどう使ってもらっても結構、あるいはそれを勝手に自分の作品として使ってもらっても結構、とおっしゃる。全てがこのトーンである。読んでいて、見晴らしが良い。とにかく自身の文章を読んでもらって、それからだ、というのを第一前提にして読み進めさせていただくことができる。これはこちらが読むときの「気持ちの前提条件」がまず大変違ってくる。通常は「著作権」を気にして、引用するときはその癖を注意して、句読点、漢字を間違わないように、と神経を使う。内田先生の場合はそうではない。気は勿論遣うが、なにが個々で言いたいのか、という本質的なところに注意力を投入できる。読者に対してそのような「配慮」をされていることを読んでいる間中にずっと感じながら、読み進めることができる。これはちょっとした違いのようだが、実は非常に大きな違いである。自由に内田氏と話し会える感じ。これはたぶん大学で講義を受けている感覚、にちかいものだろう。なにかあったら質問して、いいたいことはこうだから。

そうか、僕は神戸女学院の聴講生だったのか(もう退職されましたが)。

僕が勝手にメンターとして私淑しているのは勿論池田晶子さんである。もう亡くなっているが、私淑して”いる”、と現在形であるのはその著作を通じて(横の棚に”全池田本コーナー(除く1冊)”があり、そこに池田さんの魂が、まあオカルティックな意味ではなく込められている、と感じている=分霊箱?)、日々これは池田さんならどうお考えであろうか、と考えたりするので、それは現在形でよかろう、と思うからである。だが、池田さんの新しい文章は、残念ながらこの世ではもう読むことができない(除く未見の文章=たぶんあまりないが)。そんなときに読んでいるのが、ブログ「内田樹の研究室」。いつから、何故に読みだしたのかは記憶にないが、これだけの密度の文章を、神戸女学院大教授をなさっていた時期はほぼ毎日、早朝に打たれるということだが、タダで、惜しげもなく、ドバーッとさらけだしていただくと、これはもう読むしかない、という感じである。個人的にもこの神戸女学院という学校は、神戸出身の僕にとっても特別の感興をもれなく呼び起こす名称でもある。別に知り合いがいるわけではない、が、たぶん自分が女性に生まれていたならば、中学校受験時にできればそこにいけたらな、と思いつつ結局学力的にはもう少し下の学校に行っていただろう、と思われる学校であるからである。男である僕が灘中に感じるそこはかとない複雑な感じの女性版、というところであろう(話は変わるが、現在僕は名古屋に在住しているわけだが、ここでの南山女子中学、というのはその難度といい、立ち位置といい、大変共通項が多いと思っている)。

まあ、この微妙な感覚(そういえば池田さんの母校、慶応にも微妙な思いが同じようにある。祖父の母校でもあり憧れたのはよいが、主な得点源である国語がなんと小論文であるというのを知って、ああ、こりゃ無理やわ、とあきらめた記憶あり)を愉しみながら過去のものを含めブログを読んできたが、そのブログをベースとした本が多いのであり、確かにこれ読んだな、というのもあるが、それでも(BOOK OFFでであるが)本として買って読んで、ということに一片のもったいない感(勝手な言い分ですが)はない。同じことは確かに出てくるが(贈与とか)、それはその概念を理解するのに助けになるばかりだ。

ということで、内田本の素晴らしさを記載しつつ、タイトルの白川静先生ご逝去の際の池田さんの文章と、そして今回発見した内田先生の文章を比較玩味したいと思っていたわけであるが、時間がなくなったのでまた次回とさせていただきます。

こんな日本でよかったね―構造主義的日本論 (文春文庫)

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ひとりでは生きられないのも芸のうち (文春文庫)

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街場の現代思想 (文春文庫)

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知に働けば蔵が建つ (文春文庫)

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人間自身―考えることに終わりなく

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