最近は春になるととみに植物が気になるようになった。
もともとは虫や動物が好きだったのだが、ここ何年か植物に惹かれている。母親も考えて見ると植物好きだ。ゼラニウムが好きなようで大鉢を何鉢も持っている。昔はハイビスカスやブーゲンビリアもあった。ラベンダーやローズマリーも大きくなっている。最近はそれらの花の名前がわかってきた。花について特に話したことはない。知らず門前の小僧になっていたようだ。
ソメイヨシノは樹齢は150年程度といわれているようで、新しい種類で画一的で面白くない、というのが桜守のコメントであったが、やはり4月の入学式の頃葉がなく、一面桜色の風情はなんともいえない。数百年前はこういった愉しみはなかったというのが不思議だ。日本人はこうして桜を愛でてきたのだなあ、と思っていたので。
ただ、ソメイヨシノの場合は葉が出ると直ぐに見時が終わった、と感じてしまう。なんだかあわただしいのも事実だ。
庭のホスタたちが毎日めまぐるしく芽を出し、大きくなる。日々大きくなる姿を見ると、じっと見ていると大きくなるのがわかるのではないかと思うほどだ。庭のゴールデンティアラと、玄関側のサガエが今どんどん大きくなっている。今年の痛恨事は、ヒューケラが夏の暑さで数鉢やられてしまって、枯れた鉢と、葉が終わっておいてあったホスタ・パトリオットの鉢がごちゃごちゃになって、間違えて捨ててしまったことだ。春になって思い出した。あれ?パトリオットは??
他のホスタが元気にどんどん芽を出す中、大変に残念だ。ああ、パーフェクトプランツ、綺麗な色だったのに・・。
と言っていてもしかたないので、園芸店にホスタが入っていないかを見に行った。なんとなくまだのような気がしていたが、やはり無い。ローズマリーが数種出ていたが、これは昨年数種導入し、1本を残して失敗したやつだ。1本は無事育っているし、今年は1200円を奮発したローズマリー園から来た中型苗も買ったのでガマン。
結局土と素焼きの鉢の小さいものを5-6個、そして満を持して?多肉植物を2種購入。
なんとなく今までは多肉植物をあまり意識していなかったが、調べて見ると”金のなる木”もベンケイソウ系の多肉植物であった。マダガスカル原産とのことで、実は今年の冬、雪で前の家から持ってきた金のなる木がすっかりやられた理由がわかった。感想気味にして、雪は勘弁、ということなのだろう。これからは冬は屋内に入れてやらねば・・。
購入したのは黒法師150円と仙人の舞200円。どちらもマダガスカル系でかつベンケイソウ系のようだ。感想気味に育てる必要があり、梅雨の長雨はまずい、冬はマイナス5度まで耐えると。名古屋の暑い夏を考えると、寒さに強いヒューケラよりももしかすると強いかもしれない。しかし雪はやはりまずいだろう。いろいろ気をつけねば。元気に育って欲しいものである。
我が家は日陰が多く、あまり植物に適していないのでは?と思っていたが工夫次第かもしれない。どのように陽が当たっているのか。どれくらい暑いのか、寒いのか。じっと観察すればそこに合った植物があるはずだ。やはり夏の暑さ、鉄板の上は厳しいだろう。ましてプラ鉢では。なるべく風が通るように、通気性も考えて。
春が来て、蛙も出てきた。亀も元気に歩き回る。季節は巡る。
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須賀敦子「ユルスナールの靴」を読んで、2つの出会いがあった。勿論ユルスナールと、そしてピラネージだ。「ハドリアヌス帝の回想」の中でのハドリアヌスが病床で作った詩。
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さまよえる いとおしき魂よ
汝が客なりし わが肉体の伴侶よ
汝はいまこそ辿り着かんとする
青ざめ こわばり 露わなる あの場所に
昔日の戯れも もはやかなわで・・・
詩人である多田氏の硬質の言葉が美しい。
一方で須賀敦子訳。
たよりない いとしい 魂よ。
おまえをずっと泊めてやった肉体の伴侶よ
いま立っていこうとするのか。
青ざめた、硬い、裸なあの場所へ
もう、むかしみたいに 戯れもせず・・・
こちらは名翻訳者で名随筆家のやわらかな訳。
2者の比較が楽しいが、調べて見るとこのお二人にはなんとはない共通点がある。まずは神戸。須賀氏はたしか神戸の近くのお生まれであったように思う。多田氏は長く関西の大学で教えられたようだ。次に年齢。ほぼ同年代だ。”ユルスナールの靴”のあとがきを多田さんが書かれたあとすぐに須賀さんは亡くなっている。少しだけ年長の、同じくイタリア語翻訳に関係がある須賀さんのことをユルスナール翻訳者の多田さんはどのように感じていたのか。自分たちは似たところがある、たぶんそんなことも感じてらしたのではないか。
もう一つの出会い。それはピラネージ。グランド・ツアー等でローマを訪ねたら、記念に購入する版画。そんな位置付けなのだろうが、ピラネージの版画はとにかく素晴らしい。紙の中に描いたものは自分の世界である。たぶん画家はすべてそう思っている。その中に過去の素晴らしいものをすべて取り込もう。素晴らしいものをすべて自らの中に入れてしまおう。あるタイプの芸術家は間違いなくそのような欲望を持っている。それが創作の源泉である。ピラネージの作品を見るとそう思う。
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