夢見るように、考えたい

池田晶子さんの喝、”悩むな!考えろ!”を銘としております。

再び園芸DAYS.

名古屋市にある東山動植物園へ行った。

会社の行事の一環であるが、行事のあとひとりで園内を歩き回った。
ここの植物園には温室がある。昭和12年の溶接を利用した最初期の建造物ということで、国の重要文化財になっているとのこと。
”東洋一の水晶宮”(うろ覚えだが)という風に当時言われていたということで、英国かどこかの温室(そのころ貴族等で温室造りが流行っていたらしい)のデザインを模した、という温室は、独特の存在感を持つ。1851年5月1日から10月11日まで開かれたロンドン万博の主会場であったクリスタル・パレスの影響があったようだ。

そう思って見ると温室は独特の存在感を示す。何室かの部屋とそれをつなぐ廊下部の役割を示す部分にも植物が繁茂する。やはりシダやソテツ、ビンロウやタブ類が独特の存在感を示す。昭和12年当時からある、と示された木はそれほど巨大、というわけではない。

噎せ返るような熱帯が確かにここにきり取られている。そしてこの4月という芽生えの時期も関係するのだろう。ハイビスカスやブーゲンビリアは正に花盛り。メキシコのサボテンを中心としたエリアは、たぶん冬場でもこの通りなのであろう。スチームやファンを多用しているであろう室内は、重低音がBGMのように響いている。たまにプシューっという音もする。なにか非日常の空間に来ているような感じが、確かにする。

そしてもう一つ、植物はあまり幼児には人気がない。いなくはないが、子供は少ない。見ている対象と自分、という関係に没入しやすい。見ていると普段園芸品種としてみているものが、昔はこうした植物園でしか見られないものであったことにも気づく。名古屋の夏は暑い。南洋の植物が普通に育つのを見ても、名古屋が亜熱帯モンスーン気候である、という実感がある。

英国人は大英帝国時代、博物学と称して過去の人類の遺産を、動物園には世界各国の動物を、そして植物園にはこうした温室を配して世界各国の植物を集めようとしたのであろう。植物を求めてプランツハンターたちが地味に世界を旅したのであろう。最近僕はリュウゼツラン系の植物に惹かれる。成長がそれほど早くなく、長期間同じ姿が楽しめる。特に熱帯を意識させるわけではないが(ソテツのように)名の通り竜の舌のように尖った葉が球状に伸びているのを見るのは楽しい。このシンメトリーな感じはサボテンを見るときの喜びにも似ている。

通常の生活では見ることのできないものを見ることが出来る。子供にそれがわかりやすいのは動物園だが、植物園もまた、静かな興奮を提供してくれる。地味なおとな向け、というところであろうか。150年以上前の英国人の興奮と、それは地続きなのかもしれない。

奇想の20世紀 (NHKライブラリー)

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そうそう、前回紹介した「偉大なアイデアの生まれた場所」、在庫がある、のか取り寄せ可能なのか、で注文が出来たのでアマゾンに注文してしまった。届くのは先になりそうだが、楽しみだ。

偉大なアイディアの生まれた場所―シンキング・プレイス

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