夢見るように、考えたい

池田晶子さんの喝、”悩むな!考えろ!”を銘としております。

レビューしました。 川上未映子。

AMAZONにて川上未映子の対談集”六つの星星”のレビューをしました。

ここに再録。

「書物でしか許されない世界」

世界には様々な文章たちであふれているが、実は眼に見えない境界線を自らの性格としてもっている。その中で本書で川上さんが哲学の師である永井均氏と交わす会話がその様々な文章たちの中で、実は単行本、という世界が最も自由で自らの思いをそのまま提示できる稀有の場所であることを示す。このことは感じていても意識の上には上がってこない。例えば罪。所詮殺人以上の罪はない、ということを衆人環視のもと、衆人に養われる尊大なメディアであるTVや新聞は、そもそも言うことができない。新聞は自由だ、表現の自由だ、といっても所詮”新聞はパンのみにいきるにはあらず、といいたいパン訴求者”なのである。大衆からパンを得る以上、その存在を危うくする言動は前提として不可能なのである。
死を巡り対話した池田晶子さんと睦田真志氏の交換書簡集で僕は死について、そして罪について考えたが、この対談集では”しょせん殺人である”というタブーそのものが語られる。そして人類精神史上そのことに到達しているのは今この自分(達)を嚆矢とする、という強烈な自負心も又、さらりと気負い無く語られる。
見過ごすことのできない、対談集であるだろう。

池田晶子さんも永井氏との対談を行っている。永井さんを通じ、いわば池田さんと川上さんが間接的に対談している、ということも、また、少しいえるような気がする。こじつけかな。

六つの星星

六つの星星