夢見るように、考えたい

池田晶子さんの喝、”悩むな!考えろ!”を銘としております。

人間ドックに行った。

人間ドックとは奇妙な言葉である。船の保全修理のドックであるとは思いつつも、犬やドクターを連想している。ドックの2日前には2日分の便を取る必要があり、バリウムを飲んだので下剤を飲んでいる。妙に便と密接な数日間を過ごすことになるが、便を気にするということはなにか死というものに近づく部分があるような気もする。自分が生物であり、排泄する、という部分だろうか。川上未映子の対談集で、生物はその境界線があいまいである、という部分があり、そういう意味では水や空気と同じ次元でもあり、ただ蚊柱のように密度が濃いだけである、という部分が面白かった。

その犬ならぬドックの日であるが、妙に文学指数が高い日でもある。正確には文学購入指数か。年に一回であるが、熱田神宮の前の古本屋さんへゆき思うまま棚をなめるように見る機会でもあるからだ。ドック終了後、結果説明までの時間、その古本屋さんに行くのだ。このパターンはこの3年くらい続いており、そのスタートはこの本屋さんで池田晶子さんの”メタフィジカ!”を購入したことを嚆矢とする。

ご存知の通り(か?)、池田さんのこの本は現在購入が困難であり、ここで発見して購入したが、リアル古本屋ではここでしか見たことがない。他にユイスマン”さかしま”桃源社版や、小林秀雄本居宣長”、三島由紀夫”獣のたわむれ”などを購入している。正確に年に一回だけゆくわけではないが、行くとなかなか行けないという発想で、結構大物を購入してしまう。

ここの古本屋は、熱田駅近くに一軒のみあるが、哲学系や人文系で面白いものが多く、鉄道や植物、地方ものと特徴別に並べられている。店主の明確な選定眼を感じるというと偉そうであるが、明るく挨拶いただくのも普通の古本屋ではなく、地元を大切にしている感じがする。

マンガでもレアなものが少し混じっていたりする。場所がらそれほどレアなものが手に入るとは思えないが、これも店主が選ばれたのであろうか。

ここで目に付くのがみすず書房の本たちだ。みすず書房の本は、僕の印象では1本明確なポリシーに添って出版されている、という感じを持っている。哲学や思想で地味だが良心的な本ばかりである。”ユング自伝”や”夜と霧”、神谷美恵子の著作などを持っているが、最近では荒川洋治さんの散文集、なども大変気になるところだ。

ここの本は読者をきちんと想定して、的確に売っている、という気がする。価格も高めであり、買うときには気合が必要だ(僕には)。荒川さんの散文集など、2500円だ。内容が良いので買ってもいいと思うのだが、しかし他の出版社であれば、1800円までだろう。いや、文句を言っているのではない。この値付けが明確に読者数を視野に入れている感じがするのである。

ここの書店から本を出すのが夢である、と言う作家の文章をどこかで読んだ気がするが、そんな気持ちもわかる気がする。

まあそんな感じで今日は4冊購入。文庫でもなかなか面白い本がある。

分裂病の少女の手記―心理療法による分裂病の回復過程

分裂病の少女の手記―心理療法による分裂病の回復過程

レヴィ=ストロースの世界 (1968年)

レヴィ=ストロースの世界 (1968年)

ペロー童話集―完訳 (1982年) (岩波文庫)

ペロー童話集―完訳 (1982年) (岩波文庫)

晩年の父 (岩波文庫)

晩年の父 (岩波文庫)