写実をなすこと、それ自体が淫することであった。
出来上がるものは自然を写し取ったものである。
しかしそれは、一筆一筆、自らが筆で切り取り、作りあげるもの。
世界を切り取ること、世界を作り上げること。
神の為すべきこと、或いはその似姿。
そこに、その過程に魅入られ離れられないこと、
これを高野は魔業、と呼んだのであろう。
そこで選ばれるのが人間の居ない風景であるのはいわば必然、
人間はここに、こうして描いている、我があるではないか。
我が王国。
”
「何だこれあ自然そのまま描いてらあ
「うんこれあ寫眞と同じだ
「でも一筆一筆描いてらあ
”天上天下唯我獨能ー画かき
”近づくべからず、
親しむは魔業
”乞食
精神文化の極致
ー高島野十郎 「ノート」より