夢見るように、考えたい

池田晶子さんの喝、”悩むな!考えろ!”を銘としております。

青髭。

岩波文庫版ペロー童話集を読んで、こうした童話は宮廷人たちが楽しんで蒐集し娯楽として例えば政務の間に朗読させて楽しむものとして書物として残された、という出自を知った。

そういう意味ではオルレアンの少女ジャンヌ・ダルクの盟友であるジル・ド・レイをモデルにしたという説もあるこの青髭という童話の深みとえぐさもわかる気がする。

決して覗いてはいけないといわれる部屋を覗いてしまう、というのは、禁止されると余計にやってしまう、という人間心理を知った上で、必ず覗かれるものと決まっているものとして設定されているのであろう。パンドラの箱や、玉手箱、鶴女房等、あーあ、あけてしまったか、という気持ちは妙な開放感を持って読者を満足させる。

開けてくれてありがとう、というようなカタルシスである。

イブの食べた禁断の果実しかり、禁止されたものを食べることを抑止するような教育的効果は全く無く、逆に隠されているものは開けるべし、禁止されていることは密かな愉しみであることを教える方の配慮が働いているのか、とも考える。

そういう意味では、楽しく危険なお話である。

勢い、幼年向けの絵本は余り発見できず、映像を見つけたのみであったが、これがイメージにぴったりであった。


世界中で絵本化・戯曲化もされている童話「青髭」を、フランス映画界・耽美描写の名手、カトリーヌ・ブレイヤが独自の解釈を元に完全映画化。
主役 ドミニク・トーマスローラ・クレトン(AMAZON 内容紹介より)