夢見るように、考えたい

池田晶子さんの喝、”悩むな!考えろ!”を銘としております。

ジャンルというものはない。

森博嗣氏の「小説家という職業」を引き続き読んでいる。200ページ弱の新書であるが、含蓄に富む言葉が満載で、なかなか読み飛ばせないのが嬉しい悲鳴である。

・「場」と「時」と「人」が決まれば書き始められる。

・現実の人を観察することはいいが、小説、漫画、映画は誇張があるのでだめ。

・一番難しいのはタイトルを決めること、その次に難しいのは最後の一文(終わり方)。

・書いている途中では自分が退屈しないことが重要。どうしようもなくなったら、「そのとき、背後から迫りくるものがあった」などと書いてみる。

・他人の小説は読まない。

・書いている本人が臨場感を持つ。

・とりあえず書いてみる。書くことがいかに自然かを実感することが重要。

・どんな傑作であっても、それを「最低な作品だ」と酷評する人がいることを忘れない。

・尖れば細くなるし、広くすれば鈍くなる。鋭利な刃物を研ぐのか、鈍器として用い力を籠めるのかは、は作者の選択になる。

P.181-185までで気になった記載から引用してみた(他人の小説は読まない、というのは別の箇所)。

どんな傑作でも、「最低な作品だ」と酷評する人がいるのであれば、どんな凡作でも「素晴らしい。」と評価する人もいるのだろう。私も乏しい版画作成で、望外な評価を頂いたこともある。あるいは酷評、もある。それに心乱されることがあったのだが、多くの人が見てもらった結果でもあるのだろう。

すべからく、小説のみならず創作に役立つ心構えだ。森氏は同じく、ジャンル分けは意味がないともおっしゃる。自らがジャンルだ。なにを生み出すかは問題ではない。

これは多趣味なのではない。好きなものが好きなだけだ、という目から鱗発言とも共通する、卓見であると思う。

(名言の泉、ですね)