わたしは、あなたであり、すべてである。
そんな真実を述べられて、池田晶子さんが亡くなったのは、2007年2月23日であった。
生まれられたのは、1960年8月21日であった、が、そもそも”生”とは池田さんにとってなんであったのだろうか。
決してご自身の生をないがしろにするわけではなかったが、しかし”個人”の生は所詮なぜか生まれてきてしまっただけのこと、あとは”善く”生きるしかない、との決心のみである。
そんな覚悟のような”考え”でもって、”あ、わかっちゃった”でもって、過ごされる日々であったのだろう。
すべては”考え”である。この体も、意識も、あなたも、わたしも。
そのことが”考え”を通してわかること。
これは世界が、宇宙がひらけるKEY WORDである。
考えよ。
考えよ。
あなたの考え、ではない、私の、考えでもない。
ただの考えを考えよ。
このお金がさもしい、あるいは価値がある、わけではない。
この紙を、金属片を、なぜにどう考えるのか。
この健康を、この不健康を、この肉体を、この老いを。
はてさて
どう考えよう。そも、価値とはなんですか。
そう呟きながら、そのものさしで、”世間”と呼ばれる事象を見てゆく。
卑近なる、どうしようもない、と思われる事実から、立ち上る”本質”。
イデア、というやつですか。
それを、掬い取る。目の前に、魂の前に、鎮座せしめる。
そこからまたつながる永遠。今だけがこの一瞬のみが”真実”で”あなたのもの”。
「この先を考えるのはあなたです。」
なんとも芳醇な突き放し。
優しい仕打ち。
なのであろうか。
池田さんのことを思うでもなく考えている。
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