夢見るように、考えたい

池田晶子さんの喝、”悩むな!考えろ!”を銘としております。

小堀杏奴。

森茉莉の妹であり、森鴎外の次女である小堀杏奴の本、”晩年の父”を読んだ。

そこに出てくるパッパこと鴎外の姿は、意外なほど姉茉莉の鴎外像とぶれない。

そして印象としては又、向田邦子と年の離れた妹、のありようと大変共通しているという印象を受けた。

杏奴の目には年上の姉がまぶしく遠く見えた部分があったようで、向田邦子の場合もそうであった。父親がその娘に影響している部分も又大きく、そこでも似たものを感じる。

若い頃神速の書き手で厳しい論客であったという鴎外だが、60で結核あるいは腎臓の病で亡くなったとき14歳であった杏奴にとっては優しく包み込んでくれる微笑を絶やさぬ父であった。そして不思議なほど鴎外が近く居なくなる、という気配を感じていたようだ。

当時であれば孫でもおかしくない年の差である。切なくも濃密な時間が、そこにはあった。

姉に比べて、自分は醜いから、と述べる。もう一つ、妹の視線といえば、現在読売新聞で連載中の水村美苗”母の遺産”とも通じるものがある。

姉妹、というものにはなにか独特の関係感がある。

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