夢見るように、考えたい

池田晶子さんの喝、”悩むな!考えろ!”を銘としております。

いいわけ。

 自分の感受性くらい       茨木のり子

 
 ぱさぱさに乾いてゆく心を
 ひとのせいにはするな
 みずから水やりを怠っておいて
   
 気難しくなってきたのを
 友人のせいにはするな
 しなやかさを失ったのはどちらなのか



 苛立つのを
 近親のせいにはするな
 なにもかも下手だったのはわたくし




 初心消えかかるのを
 暮らしのせいにはするな
 そもそもが ひよわな志にすぎなかった




 駄目なことの一切を
 時代のせいにはするな
 わずかに光る尊厳の放棄



 自分の感受性くらい
 自分で守れ
 ばかものよ





 童話屋 ポケット詩集 より






 気がつくと、自分に言い訳ばかりしている。
 会社が忙しい。
 自分の時間が無い。
 考えていない、時間が無いから。



 ニュースや新聞。
 いいまつがい。
 レベルが低いな、言う人も、言われる人も。
 そうか?
 いろんな出来事の裏。本当を、
 考えず表層で脊髄反射
 


 こなす、いなす、流す。
 本当に自分がしたいことは他にある。
 


 そうかもしれない、でも
 真剣に生きる同士だと違うかもしれない。



 今だけが永遠。今だけが自分のもの。
 前も後ろもあるがない。



 大事なことを
 すぐにわすれる。



 あそこでいいまつがえて、
 あげつらっているひとびとは、
 私だ。



 茨木さんの、この詩
 生きるに惰性が生じるときに、
 そのことを思い出させてくれる



 これがもしかして、考える、ということ
 哲学、というものの
 正しい姿

 

ポケット詩集

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