GWは例によって何軒かの古本屋へ。
そこで購入したこの本は、大変よろしかった。
- 作者: 林道義
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1998/06
- メディア: 単行本
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P.41
”不思議な空想や夢の意味を知るために、彼は地下の世界に降りていくことを想像した。それは後に彼が「能動的想像」と名づけた営みである。”
この辺り、村上春樹の創作術を思い出す。
また、錬金術師の求める”金”は、世俗の金にあらず、という視点も新鮮であった。金を求める世俗的な営みに見えていた錬金術師であるが、その求めるものは”内面的な理想の状態”であるのだ。
”対立するものを、どちらも生かす道をさぐっていた。対立物の結合をめざしていた。”
フロイトは、全ての根源を性的なものに帰属させて考えたが、ユングは集合的無意識に帰した。そこにはもちろん性的なものも含まれるだろう。
フロイトを読むときには”全てはお前の下心の所為だ!”という風に糾弾されているような居心地の悪さが付きまとうが、そしてそうではないというと”エエカッコしい”であるような罪悪感もセットで芽生えるのだが、ユングにはそれがない。
そのことだけでも、ユングに魅かれる。ようは”深いし、品がいい”のだ。そういうところで選んでいいのか?いいのだ、という心の声がする気もする。
この辺りがユングを読むときの、心地よさだったりする。