”ピアニストのノート”を読んでいる。
- 作者: ヴァレリー・アファナシエフ,大野英士
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/12/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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歯ごたえがある。旧ソ連から亡命した経験がある、というプロフィールに加え、音、演奏、に対する思い、拘りが新鮮である。
音楽に向き合う人の心の中を、初めて覗いた思いがする。
作家や芸術家の心情吐露、というのは実は数多く、ある意味読みなれている気がするのだが、音に対峙する人の心の中の開示というのはあまり記憶がない。
加えて演奏旅行へとゆく。様々な都市へ、様々な演奏条件下で演奏を行う、ということの困難さ。聴衆、という集合体との関係性、そして孤独。
当然ながら”音”に対する思い。
一つの音には全世界が込められている、という意識。
これが特に印象に残った。
我々は実は様々な永遠と、日常的に接している。
永遠、などというと大層な感じがするが、実は日常的でありふれたものである。だから意識することも少ない。
例えば空。見上げれば宇宙へと続くわけだが、”宇宙の果て”というものが仮にあったとして、その果ての向こうは何があるのか、或いは無いのか。
考えた途端に”底が抜ける”。
端的に永遠、を感じる。全、といってもいい。わからない、という思いと近いものだ。
我が意識、貴方の意識、一つのようで、全ての意識の一部のようであり。
数字の1は、ただ1を表すものであり、0の概念をも萌芽するものであり、そして数字も”大きさの限界はない”。すなわち永遠。
言葉の一つ一つもまた、一語がすべての世界、思いを含む。
どちらかというと概念的にそう思って来た。どちらかというとそれで世界がこんなもの、という思いがあった。
抜けていた。”音”があったのだ。一つの音は世界全ての音を含む。この世でいま”発生している””無言の音”を含む全ての音がこのなかにある。
これは”言葉”に近い。だが少し違う。言語の世界のみで考えていた、ということか。音はより感覚に近しい。
すこし世界が広がった気がする。
この本を手に取るきっかけになった2月に引用した讀賣新聞の書評をここに再録しておく。
評者 石田千(作家、エッセイスト)
「ピアニストのノート」 ヴァレリー・アファナシエフ
”朝5時に目ざめ、執筆、ピアノを弾く。散歩をする。窓から見える一本の木。ワインを選ぶ。友人に会う。東西の思想、哲学、文学、映画。ちいさなレストランの、手間をかけた料理。いまは亡き作曲者との語らいは、伴侶として終日抱えている。あふれる言葉が星雲となりうずまく。そして音楽は、胎児のように彼の深奥に育つ。”
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この時期、新入社員の季節。僕も彼らに2講座、持つことになった。
責任は実は重い。彼らにとってのこの1週間は重要だ。全身を多分耳にして新しい世界のことを聞き取ろうとしている。そして疲れる。
”なんと長い1日か”
講義などというレベルではないが、話のなかに、これからの会社生活で抱いてゆくべき考え方、というものを出来るだけ伝えたい、と思った。
一回目の講義で、宿題を出した。本を、読め。自分のなかで、人に薦めたい本を次回までに考えてくること。
どんな本を選ぶか、というのは実は関係があまり無い。直ぐに狭くなる仕事、人間関係。ここに息苦しくなったとき、本を読む、ということで”息を継ぐことができる”のではないか。なにかのきっかけになるのではないか。
そう思ったのだ。
昨日、その結果を聞いた。
全員、理系。ちょっとかわいそうかな、と思ったので、マンガやゲームでもいい、といっておいた。FFにスヌーピー、星新一にワンピース。
ほほえましいのが並んだ。これでいい。なんでもいいんだ。
そして僕は、”池田晶子”を紹介した。メモしている者がいた。お役に立てればなにより。たぶんお役に立ちますよ、いつかきっと。
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購入の覚えから。
WhichFord Pottery の Plain Flower Pot 1203 を購入。2205円。
いわば陶芸家の作品に近いものだ。通常の鉢とは値段が違うが、込められた思いもまた違う気がする。
1万円以上する鉢が並ぶが、一番安いものを購入した。外に放置することによるエイジングも楽しみだ。[rakuten:toolbox:10003504:detail]
そして”小林秀雄”。最後の河上徹太郎との会談CDが付録の”考える人”。
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/04/04
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これは買わねばなるまい。小林の最後、を意識した特集。この前の芸術新潮に加え、嬉しい小林本刊行ブームだ。
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/01/25
- メディア: 雑誌
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あ、なんか表紙のデザインが似ているな。赤が差し色で、モノトーンで。同じ新潮社だからかな?