43歳の時の池田晶子さんの著作、”新・考えるヒント”を再度読んでいる。
本というものは、一度読んだらその後何度も読むのが辛い本と、
何回でも読める本がある、とつらつら考えている。
何回でも読める本は、どちらかというと一回ではよく意味がわからないことがある。
何度か読んで、ほとんど内容を覚えていず、毎回感動する、これは単に読み手である僕の資質の問題が多分にあるのやもしれないが。
しかし、何度か読むとじんわりと意味がしみこんできて、一言一句がなんとも滋味あふれる”珠玉”の言葉に思えてくる。
これは、と抜書きした文章だけでも何度か読んでいると、その言葉だけにも真理の深淵がぽっかり口を開けていて、ぞっとすることもある。
読書といえば小説だ、と思っていた僕であったが、そうではないな、と思ってからどれくらいになるだろう。
確かに読むスピードをつけてくれたのは数々の物語であった。しかし高校生の時に課題図書として渡された小林秀雄を読んだとき、いや読もうとしたとき、おどろいた。
いや、全く小説読みの僕の読みが通用しない。
しかし一読意味を把握するのが信条の小説読みであった僕は、
これはあわんわい
と思って長らく小林を読まなかった。読めなかった。
しかし、小林のあり方を深く敬愛する池田晶子というヒトの文章に接することで、再び小林を読んでみようと思ったのだった。
あいかわらず意味がなかなかつかめんワイ。
そう思ったが、同質の文章である池田さんの文を読んでいた僕は、少し耐性がついていたのだろう。
あきらめずに読んでみると。ああ、
そういうことかもしれない。
しかしノートに書き写した文章、何度でも読めるのはこれは一体なんなのか。一文に込められた、思いが、真実の量が、多すぎる。
これは何度でも読まなければな・・・
嬉しいような困ったような、気持ちになる。
果たして生涯にて補足できるのであろうか。この小林を。
そして池田さんと小林の、DUETというべきこの本もまた。
- 作者: 池田晶子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/02/11
- メディア: 単行本
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