思い出す、ということは、絶対我が存在から個体を思い出すことである。
池田晶子 Remark P.34
ただ過去を思い出す上手下手ということがあるのだ。
小林秀雄 常識について(角川文庫) P.35
思い出す絶対我が、濁っている、あるいは純度が低いことがあるのではないか。それが”上手下手”となる。
存在は過去である。存在には過去も未来も、現在も、含まれる、もちろんのこと。
そして存在には全と個がある。個の全集合が、”全”なのかはわからないが。
冥府などはどこにもない。現在以外の何がある。
池田晶子 新考えるヒント P.40
冥府、あるいはここではないどこかを考えるとき、人は”わかっているが逃避したい、現在から”という気持ちが、どこかに必ずある。そしてそれは”いまを生きる”ことからの逃げである。そのことを直視せよ、と池田さんはおっしゃっているのだと思う。
現在、にきちんと向き合ってこその生。このかけがえのないもの。
そんなところではあるまいか。
思い出す、という行為は、そんなことやあんなことの、上に成り立っている、繊細で壊れやすい、こころの働きである気がする。
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