元古本屋の作家、出久根達郎氏の本を読んでいて、”棚を作る”ということを知った。
古本屋は自らの嗜好に合った本棚を作るため、新刊本を購入し、自分の店に1−2割引で並べていたという。
無論赤字である。客への還元である。店を好きになってもらいたいがためである。
しかし今は客がそれをわからなくなった、張り合いがない、という。
BOOK OFFに大手出版社等が出資。価格をコントロールしたい、ということだろう。魅力的な本は値下げしないのだろう。画一的に扱い、その中で驚きの宝探しができるのがBOOK OFFの魅力。魅力がなくなることを懸念している。
魅力とは良い本が安く買えること。これはしかし出版社はいやである。
難しいところである。いい本を少しでも安くそろえたい身としては。しかし出版社の体力も心配ではある。
反応がない、と出久根氏はいうが、ほしい分野の本なら反応するけどなあ、というコメントが最早時代遅れなのか。
川本三郎さんは、古本屋と豆腐屋が近所にあれば幸せ、といったという。
昔からの人が喜ぶような豆腐屋は近くにないし、古本屋と言えば僕にはBOOK OFFしかない。そうか、僕には昔からの古本屋が近くになかったから、心情的にBOOK OFF寄りになってしまうんだな。豆腐はスーパーだし。確かに、店主が作った豆腐は食べたい。店主がセレクトした古書は選びたい。でもどちらもないのだもの。
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人生は愉快だ 池田晶子 を携えて散歩。最近は5時前でもう明るい。
この本の前半で、池田さんは数々の先人一人一人を語る。死んでからでも本は出る、というキャッチコピーであるこの本、先人の中で最後に語られるのは一休。
生と死を縦横無尽に論じる一休の境地にあくがれ、贋作も数多いという。
さすがは、生死と有無の専門家?の池田さん、
有無を乗する生死の海のあま小船 底抜けて後有無もたまらず
という歌は贋作であると断じ、
正しくは
生死を乗する有無の海のあま小船 底抜けて後生死もたまらず
であると看破する。
確かに、有無の中で、生死はたゆたうはかない子供か旅人のようなものであろう。
そして一休の臨終の歌も紹介されている。
死にはせぬどこへもゆかぬここに居る
たずねはするなものは言わぬぞ
この本の成り立ちからして、この章自体も最後に書かれたと思しい。
池田さんのラスト・メッセージは
”さて、死んだのはだれなのか”
であるだろうが、この先人たちを俯瞰した最後の章で、紹介された一休の辞世の句も又、池田さんから我々へのラストメッセージのひとつでもあるような気が、今朝、したのである。
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