夢見るように、考えたい

池田晶子さんの喝、”悩むな!考えろ!”を銘としております。

伊藤若冲と小動物。

伊藤若冲、といえば江戸時代の画家であるが、庭で飼っていたという鶏の描写は格別である。

40歳で隠居して、55歳位までに描いた33幅の相国寺に奉納した絵の中には、虫尽くしの風情のある絵も含まれる。

これも若冲が自然の中で出会うものたちが描かれる。昆虫、カエル、蛇。

今の私たちであれば、「様々なカテゴリーの小動物をごった煮的に配置したんだな」という感覚をもつが、その絵の解説を読んで面白かったのは、その時代、蛇やカエルや昆虫は、同じカテゴリーのものとみなされていた、という事実である。

つまり、若冲はこの絵を描くときに、「昆虫だけだとなんだから、爬虫類も両生類も描くと幅が出るぞ」などという思いは1ミリもなかった、ということだ。

単に、身近にいる小動物を詰め込もう、という意識だったのだろう、ということがわかる。

それがどう、というわけではないが、同じ絵を見ていても、作者が描きながら感じている感覚と、我々が見ながら感じる感覚が違っている。そしてその違いを、こうして知らなければ意識することもない、ということが、なんだかおもしろく感じたのである。

(精密に描きこんだ絵をみると時を忘れます)