夢見るように、考えたい

池田晶子さんの喝、”悩むな!考えろ!”を銘としております。

生命の樹。

ピーター・シス作、”生命の樹”を読む。

進化論を唱えたチャールズ・ダーウィンの生涯を描いたものだ。
大変に興味深い内容であった。

生命の樹 チャールズ・ダーウィンの生涯

生命の樹 チャールズ・ダーウィンの生涯

1809年生まれのダーウィンは、イングランドの地方の上流階級に生まれた。22歳で英国軍艦ビーグル号に乗り、5年弱の航海を行った。ビーグル号の航海は1831年12月27日から1836年10月2日。ビーグル号は全長27.5メートル、乗員数74名。

ダーウィンは乗船代として500ポンドを払っている。航海にかかった費用は、備品600ポンド、食費年50ポンド、助手の俸給年60ポンド、陸上での食費、宿泊費等で焼く1200ポンドとなっている。

艦長が途中で船を一隻購入、それが1300ポンドとあるので、上記の金額(2410ポンド)というのは、膨大な金額であると思われる。それだけの資力と体力を持っていたことが、この航海に必要な条件だったのである。

約200年前の南米からオーストラリア、ガラパゴス諸島を巡る旅では、先住民がひどい扱いをされているのに心を痛めている。
”ヨーロッパ人が足をふみいれたところではどこでも、死が先住民を追いたてているかのようだ。”

200年間で、人類はどのように変わったのであろうか。なぜ、ヨーロッパ人は先住民を追い立てるのか。権利をあとから来て強引に奪うためにはどうしてもそうなるのだろう。

またそうした航海を通して自然に浮かび出た”進化論”、種の起源という考えは、秘密の考え、宗教を冒涜するものであったのだ。時期が違えば、即刻宗教裁判で火あぶり、であろう。

おずおずと、正規の手続きを取って提出されたその考えが、やはり宗教界からの攻撃を受ける。

”サルと血がつながっているのはあなたの祖父の家系か、それとも祖母の家系か”
”思いこみや、あやまった考えを守ることに知性を悪用するような人間と血がつながっているよりは、サルの孫でいるほうがましだ”

我々の今の考え方の基礎は、当たり前のように進化論に拠っていると思っていたが、例えばアメリカでは進化論を否定するパビリオンが人気と聞く。自らがサルの子孫ということを認めたくない、という”シンプルな”思いから離れられない人がいる、ということだろう。

先日のオルテガ、”大衆の反乱”や、衆生は御しがたし、という語が浮かぶ。どうしようもないことがあるのだ。魂の奥底では、たぶんみんな解っている。でも”いやなんだよなあ”と”甘やかされた子供の態度”で生に臨んでいる。

そんなどうしようもなさ、を起点として、どのように教育があるべきなのか、どのように政治は運用されるのがもっとも”善い”のか、ということを考えていきたいと思っている。