これで、今生の別れかな・・・
小林ぃ、生まれて初めてだ、お前にこんなにもてたのは。
・・・死ぬまでに又会おう。
さよならぁ。
・・年取るっていうのはね、辛いもんですわね。
最後の晩餐かなあ。
ありゃア、来年死ぬねえ、いや、再来年くらいにしとこうか。。。
最後の対談ってのは、やっぱりね、そういうもんですわね・・・。
1979年7月23日、於福田屋。77歳、交流60年に亘る小林秀雄、河上徹太郎の対談を聞く。
愛惜に溢れる対談である。翌年河上は没する。3年後小林も没する。
出逢ったことへの感謝、今までいわなかった感謝、をあえてここでいわなければ・・・のある意味決意。焦り、ともいっていいかもしれない。
対談の前、体調の優れない河上は”寝ていた”という。小林は対談の前日、河上の本を読んできている。感謝する河上。
2人は同い年、といっても、学年は一つ違う。河上が1学年上なのだ。それは2人の中にあったのか。無いように聞こえる。あったのかもしれない。かすかに。
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お互いに著書を贈りあっても、特に感想は伝えないできた。
だがこの会談で言う。勿論全部読んでますよ。
何故言うのか。言い訳ではない。言わなくて良い関係でこれまで来た。だが、お互いに最後の会談になるとの、切ない予感があるからであろう。
しかし、語り合う内容の、なんたる芳醇さ。なんたる深み。なんたる面白さ。なにをいってもお互いわかる、安心だ、という盟友を60年間も持つことの素晴らしさを感じ、そしてうらやましさを、感じた。
会談中でさまざまな本への言及がある。
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河上のこの本のことは知らなかったが、「平たく言えば、変わり者列伝」(小林)と評したとのことなので、コリン・ウイルソンの「アウトサイダー」との読み比べなど行いたいところだ。
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そしてモオツアルト、ランボー。小林が拘った2人に関する思いが言葉の端々に表れる。人生の初期に掴んだものを、一生つかみ、考え続けたことがわかる。
いろいろな事を与えてくれる。貴重な資料である。
あえて、”資料”といいたい。
素晴らしい先人の生き方の一端に触れた思いのする機会となった。
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文庫が出ると、古書のハードカバーは安くなる。ついつい、購入してしまった。
- 作者: C.ウイルソン,福田恒存,中村保男
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なんと送料を入れて570円!古書の版数を見てもこの本が世代を超えて詠み続けられたことがわかる。
それを文庫本一冊以下の値段で・・・
なにか申し訳無いようだが、その分またしっかり読み込みたいと思っている。
自分のブログ、余り読み返さないのだが、昨年度の6月にこの本に関する記事を書いていた。こんなことを考えていたのか。こんなことが書いてあったのか。
結構忘れているものだ。そんなとき、こうしたブログは、結構便利なのかもしれない。